ファッションに大きな影響を与えたデザイナー『Martin Margiela』の歴史〜コレクション編2〜
今日もファッション業界に大きな影響を与えたデザイナー“Martin Margiela”のコレクションと、現代ファッションへの影響を与えた名作について書いていきます。
前回の記事のコレクション編1は89SS~91AWの6シーズンのコレクション解説もぜひ見ていただけたらと思います。
1992S/S
このコレクションのショーはパリの1939年以来放置されていた地下鉄サンマルタン駅で開催されました。
モデルたちが歩いた3つの階段は、ローファイな雰囲気で、金属製の手すりに取り付けられた1,600個の蜜蝋キャンドルで照らされていました。
ヴィンテージ素材とシルクスカーフで作られた服は、放棄されたパリの地下鉄駅と歴史的な生地とを更新するアバンギャルドな表現でした。
アバンギャルドは前衛的つまり先駆的な みたいな表現のことです。
このコレクションではマルジェラのコレクションにはあまり登場しないスカートが印象的に見受けられました。
1992-93A/W
このコレクションは倉庫で行われ、楽隊の音楽で赤い髪のモデルたちが起用されました。
アセチルセルロースと呼ばれるセルロースと酢酸の化合物を原料にして作られた繊維でシルクのような柔らかさと光沢が特徴のスカート。1970年代のレザーコートにインスパイアさされたドレスが印象的です。
1993S/S
このコレクションはミニマリズム(装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する表現スタイル)が表現されたショーで、ペチコートスタイルのスカート、ガロントリミングジャケット、首の周りに結ばれたペンダントのように結び付けられた緑の小枝、ケイトモスなどのモデルにテープが貼られていました。
モンマルトル墓地付近で白と黒のコレクションの2つのショーを違う会場で開催しました。
1993-94A/W
マルジェラはこのコレクションで10回目のシーズンを迎えるため、コレクションを珍しいファッションショーに作成することにしました。
さまざまな年齢、国籍、職業の7人の女性が、自宅や日常生活の中で撮影されました。 少ない数の報道関係者とバイヤーがショールームに招待され、映画を見ました。
1994S/S
このコレクションは“Retrospective collection”(レトロスペクティブコレクション)と呼ばれ、1989年から1993年までの象徴的なルックを再現。
モデルたちの腕や首などには、紹介する服が発表されたシーズンなどが黒くスタンプされています。
これは過去のコレクションを買いそびれた人たち、ファンの期待に応えるためという背景があるそうです。
1994-95A/W
このコレクションは、“A doll’s wardrobe”(ドール期)と呼ばれる名作、アーカイブです。
人形が着ている服ってボタンなどのディティールが大きいと思いませんか??
その人形の服を人間のスケールに拡大した服をマルジェラは作りました。
人形の服は子供でも着せ替えができるように、ボタンはスナップボタンになっていますが、そういったディティールも落とし込まれています。
6つの都市(パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京、ミラノ、ボン)で同時に展示され、伝統的なパリのファッションショーに取って代わりました。
モデルは銀のマスクを着用し、専門家ではなく、マルジェラのクライアントや友人でした。
と同時にこの時期あの代表作ともいえる”AIDS T”(エイズT)が出てきます。
マルジェラ自身がファッションによるチャリティー活動をブランドに取り込むカッコよさ。
メゾン マルジェラ Maison Margiela エイズ Tシャツ メンズ グレー シルバー S30GJ0005 S20299 965 価格:8,802円 | ![]() |
THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T SHIRT BUT IT’S A GOOD START
(エイズと闘うためにすべき活動はもっとあるがこのTシャツを着ることは良い始まりだ)
という文字が入っており売り上げの一部はフランスのチャリティー団体”AIDES”に寄付されるようになっている。
94AWではカーキに黒文字の配色のデザインが発表された。
エイズTの深掘りも後々記事として書きたいですね。
1995S/S
このコレクションにもマルジェラのアイディアが光っていました。
いつもか。笑
彼のモデルは、ショーを収容した劇場の観客の中に座っていました。
そこにいる時間にふさわしいルックスには、スリップドレス、テーラードチェックスーツ、さわやかな白いストラップレストップス、そしてロマンチックなナイトガウンドレスがあります。
1995-96A/W
フェイスマスク以外にこのショーを際立たせたのは、マルジェラの色の使い方でした。
ホットピンク、ガーネット、ラベンダーは、フロアレングスのベルベットのドレスから、メカニックのジャンプスーツまで、すべてを含むラインナップにネイビーとブラックを上手く融合できています。 ほとんどのモデルは髪をトリミングしたベルトで結ばれていました。 視点に応じて、全体的にエッジの効いていて、ニューヨークタイムズが“Salvation Army mood.”(救世軍の気分)と表現しました。
ブローニュの森にあるサーカスのテントに設置された観客席の中でモデルが歩くとワルツが演奏されました。 風船だけでなく、線香花火や星のついた杖を含む陽気な、お祝いの、子供のようなタッチは、デザイナーの匿名性と彼のアシスタントの白衣と同じくらい印象的でした。
次回は1996S/S〜のコレクションを取り上げていきます。
